一日限定の恋人

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あれは七夕の前日のこと。 始まりは是枝との再会からだった。 半ば強引に車に乗せられ、意外なことを聞かされた。 証が自分と一緒にいるのは、罪滅ぼしなのではないか、と。 混乱の中、証に是枝と会ったことを糾弾され、髪を切られた。 あまりのショックに家を飛び出しそのまま以前住んでいたアパートへ向かったが、そこでも意外な事実を聞かされた。 柚子と奴隷としての契約を交わしている期間の家賃を、柚子に黙って証が払っていたのだ。 その後柚子を追い掛けてきた証に真実を聞こうとしたが、証は復讐だと言い張った。 ………そして、信じられない程優しいキスをされた。 あのキスを思い出すと、胸が弾むと同時にひどい混乱に陥ってしまう。 確かに奴隷と言う割には待遇がよく不思議に思うこともあったが、その日までは証が自分を側に置いているのは復讐の為なのだと信じて疑わなかった。 だがそうではないのかもしれないという猜疑心が芽生えると、途端に証のことがわからなくなった。 柚子の髪を切ってしまったことを随分後悔したのか、それからしばらくの間、気持ち悪いぐらいに証は優しかった。 最近ようやく厭味を言ったり、偉そうに振る舞ったりと元に戻りつつあるが、ただあのキス以来、証は柚子に触れようとはしない。 表向きは普通に接しているが、あの激動の一日から確実に二人の関係は前とは変わってしまっていた。  
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