21発の花火

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証はかすかに目を伏せる。 「わかっています、お父さん」 静かな証の答えに、雄一郎は溜飲を下げたように肩の力を抜いた。 再び箸を取り、料理を口に運ぶ。 「ところで鬼龍院の娘とはどうなっているんだ」 「別にどうもなっていません」 少しうんざりした口調で証が言うと、雄一郎はくっと笑った。 「お前の好みではないか。まあ確かに少々思い込みが激しそうではあるな」 「………………」 「官僚の娘だからな。お前さえよければまとまってもいい話だと思ったが」 (………冗談じゃねぇ) 証は小春の顔を思い浮かべながら内心で舌打ちをした。 小春なんかと結婚するぐらいなら猿と結婚したほうがまだマシだ。 黙りこくってしまった証を見て雄一郎はふっと苦笑をした。 「まぁこの話はここまでにしておこうか。お前も重々わかっているようだし、せっかく久々に会ったのだから楽しい酒にしたい」 「…………そうですね」 (よく言うぜ。俺の誕生日も覚えてねーくせに) そう心の中で毒づきながらも、証は父に酒を注いでにっこりと笑って見せた。   
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