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家のドアを開けると同時に、リビングに明かりが付いていることに証は気が付いた。
次の瞬間、奥からトタトタと軽快な足音が聞こえ、柚子がはちきれそうな笑顔で証を出迎えた。
「証……! お帰りなさい!」
いつになく嬉しそうな柚子の様子に、証は軽く混乱した。
「よかったぁ。もう今日中には帰ってこないと思った」
「……………何が」
「いいから早く来て。日付変わっちゃう」
証が靴を脱ぐやいなや、柚子は証の腕を掴んでぐいぐいと部屋の中へ引っ張っていった。
「おい、何だよ!」
柚子に腕を引かれながらダイニングに足を踏み入れた証は、テーブルの上を視界に入れてゆるゆると目を見張った。
そこには綺麗にデコレーションされたケーキが乗っていた。
チョコレートにはHAPPY BIRTHDAYと書かれ、大きなロウソクが2本と、小さなロウソクが1本立っている。
「誕生日おめでとう、証」
一瞬ぼんやりと惚けていた証は、柚子の声にハッと我に返った。
ゆっくりと柚子の顔を見下ろす。
「………お前、知ってたのか」
「いや、実はギリギリまで知らなかったんだけど……」
柚子は決まり悪げに舌を出した。
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