21発の花火

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「今日ね、小春が証に誕生日プレゼント持ってきたの。それで初めて知ったんだけど」 「………小春が?」 「うん、それ」 柚子はリビングのテーブルに乗せている紙袋を指し示したが、証はチラッとそれを一瞥しただけですぐに柚子に向き直った。 「………電話した時、これってもう作ってたのか」 「え、あ、うん。ちょうど出来上がったぐらいで電話かかってきて……」 証はぎゅっと拳を握りしめる。 「この、バカッ!!」 いきなりそう一喝されて、柚子はビクッと証を見上げた。 ………喜ぶとは思わなかったが、まさか怒られるとは。   「もう用意してたのかって聞いたら、お前まだしてねーって言ってただろーが!」 「え、だ、だって本当にケーキしか作ってなかったんだもん」 オロオロと柚子は証を見上げる。 「それに、お父さんと食事に行くなら、多分誕生日を一緒に祝うんだろうなって思って……」 「………………」 「私なんかが作るご飯で庶民ぽい誕生日祝いするより、家族と一流ホテルで祝うほうがよっぽど自然だし……」 柚子が言い終わったその時、ドサッと証の持っていた鞄が床に落ちた。 驚いた次の瞬間には、柚子は証に強く抱きしめられていた。 柚子はとっさに息を止める。
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