21発の花火

19/40
2811人が本棚に入れています
本棚に追加
/40ページ
さすがに時間も遅かったので、今日はマッサージをしなくていいと言われて、柚子は証と同時に布団に潜り込んだ。 証はいつも柚子に背を向けて眠る。 シャンパンのせいでほろ酔いだったが、やはりガンガンに効いた冷房に柚子は布団の中で身を縮めた。 (……なんだろ。今日はいつもより寒く感じるなー。……あ、そっか。いつもはマッサージして体が温まってるからか……) ぼーっとした頭で柚子は証の背中を見つめた。 同じ布団にくるまっていると、かすかに証の体温が伝わってくる。 (………ちょっとだけ近寄ってもいいかな。……暑がられちゃうかな……) 酔っているせいかいつもより行動が大胆になっているようだ。 柚子は少しずつ証の背中ににじり寄る。 (……あー、あったかい……。気持ちいい……) 少し近付くだけのつもりが、あまりの気持ち良さに柚子は証の背中にしがみついてしまっていた。 驚いた証はビクッと身を震わせる。 そうして肩越しに柚子を振り返った。 「な、何だよ」 「あ、ごめ……」 我に返った柚子はパッと証の背中から手を離した。 「ごめんなさい」 「どうしたんだよ」 「えっと……。ちょっと、寒くて……」 「…………寒い?」 証は半身を起こして柚子を見下ろした。  
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!