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「もしかしてエアコン強すぎるのか?」
「……………」
柚子はためらいがちに頷いた。
とっさに証は柚子の手を取る。
まるで水仕事をした直後のような冷えた指先に、証はハッとした。
「…………この、バカッ!!」
柚子はひゃっと目を閉じる。
今日はバカと言って怒鳴られてばかりだ。
証は枕元のリモコンを手に取りすぐに設定温度を上げた。
そうして再びキッと柚子に向き直った。
「なんで言わねーんだよっ! もしかしてずっと我慢してたのか!?」
「………だって」
柚子は困ったように証の顔を見上げた。
「言えないよ、そんなの……」
「………………」
証は小さく吐息し、覆いかぶさるようにして柚子の顔を見下ろした。
そっと柚子の頬に触れる。
「………お前は、俺に何にも言わねーんだな……」
「………………」
「そんなに俺が怖いか?」
柚子はしばらく黙り込み、やがてコクリと頷いた。
「怒ったら、怖い……」
「……………」
証はふっと自嘲気味に笑う。
激怒の末に髪を切ってしまった前科があるだけに、返す言葉もない。
「言えばよかったんだよ。また風邪ひいたらどうすんだ」
「………ん、そうだね」
柚子は笑って頬に置かれている証の手を握り返した。
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