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「証の手、あったかくて気持ちいい」
「………………」
「意地悪なくせに、体温はあったかくて、優しいね……」
「……………っ」
たまらず証はぎゅっと柚子の体を抱きしめていた。
洗いたての髪の香り。
触れ合った冷たい頬。
自分の腕の中で徐々に高まっていく体温。
そして、重なった胸に伝う、規則的な鼓動。
証は柚子を抱きしめながら、きつく目を瞑った。
………柚子が欲しい。
今、改めて強くそう思った。
証は柚子から手を離し、身を起こして柚子の顔を見下ろした。
柚子の両手に自分の指を絡ませる。
そうして低い声で呟いた。
「抱くぞ」
証の熱い瞳を見つめながら、柚子は思わず息をつめた。
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