物語 - 6章 - の続き

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 「僕はね、姉ちゃんに相談した時に知ったんだよ。22年前に僕らの兄さんが死ぬことになった経緯を。あの男が元凶で、君のお父さんもそれに関わっていたとね。そしてその娘が君だってことも。  正直驚いた。葛藤もあった。でもそれはまた違う話しだと割りきって心に閉じ込めた。偉いだろ?」  一生喋れなくしてやりたい。  「君がホテルで脅されている頃、僕はあの男にそっと近づいた。窓を開けてタバコを吸っていたからね。簡単だったよ。スタンガンの威力を知ってるかい? 僕が使ったのは100万ボルトの電圧を発生させるモデルだ。あっさり眠ってくれたよ」  だからあの短時間で政やんの自由を奪うことができたのか。  「あの男は、僕らの乗ってきた車のトランクに乗せた。あの男の車は僕が運転して途中のパチンコ屋に乗り捨てた。  それから組が管理している倉庫に連れ込んだのさ。そこに寝てる女を監禁したのと同じ場所にね」  時折り闇に光る稲光が弱くなり、雷音も段々と小さくなっている。  しかし降り続く豪雨が弱まる気配はない。
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