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「第2の誤算は、僕が思っていたよりも君がおてんば娘だったことだ。
君はどうやったか知らないが、組の2人組を見つけ出して榊組に教えたんだろう。そして彼らは捕らえられてしまった。」
「当然の報いだろ」
あたしは吐き捨てた。
「君の行動のおかげで、僕や姉さんの尻に火が付いたんだ。
只でさえやり過ぎて殺してしまった僕は組から叱られていた。
挙句僕のせいで組員を2人失ってしまった。2人が生きて戻らなければ、あの男殺しに関しては僕が自首しろって組長から言われたよ。姉ちゃんが必死に庇ってくれていたみたいだけれど、それも限界に来ていた」
やはり阿久沢組は、2人組が顔を晒していたことからあたしに見つけ出され、榊組に知らされ、その結果2人組がさらわれたという推測をしていた。
それでも榊組から奪還しようとしたり、身柄解放の交渉を行えば政やん殺しを認めざるを得ないのだから、動くに動けなかったのだ。
「続けろ」
先を促す純也の声からは感情が取り払われており、機械的な印象さえ受けた。
八つ裂きにしてやりたい気持ちを無理に押さえ込んでいるのだろう。
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