恋の病

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翌日、昼前に証から電話が入った。 昼食の用意をしていた柚子は慌ててガスの火を止め、携帯に手を伸ばした。 「もしもし」 『ああ、橘?』 「うん」 『ちょっと頼みたいことがあるんだけど』 「いいけど……何?」 『陸が、熱出してダウンしたんだ』 「……………えっ」 柚子は強く携帯を握りしめた。 「ダウンって……」 『朝に連絡入ってさ。仕事も休んでる』 「それって大分ひどいんじゃないの?」 『あいつは大丈夫って言うんだけどさ。多分昨日から何にも食ってねーと思うんだ。……お前、悪いけどちょっと行って陸の様子見てきてくんねーか』 「……………い、行く!」 柚子は二つ返事で頷いた。 五十嵐が仕事を休むなど、余程調子が悪いに違いない。 五十嵐のマンションの住所を聞いた柚子は携帯を切り、急いで準備に取り掛かった。 (私が風邪で寝込んだ時は五十嵐さんがすごく良くしてくれたんだもん。今度は私が恩返ししなきゃ!) 冷蔵庫の材料を適当に見繕い、柚子は家を飛び出した。 途中ドラッグストアに寄り、薬などを買ってから住所を頼りに五十嵐のマンションへ向かった。 (結構近いんだな……) 気が逸り、自然歩く足も速くなる。 部屋の前に立った柚子は、少し緊張を覚えて軽く息をついた。 おもむろに呼び鈴を押したが、返答はない。 (………そりゃそっか。ダウンしてるんだから、出てこれないよね……) どうしたものかと考え込み、柚子は少し強めにドアをノックした。  
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