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パタン――――部屋に戻って、買ってきた飲み物や食料をしまう。
管理人さんから勧められたパン屋に行ってみた。
軽く食べるには手ごろだし、種類も豊富で見ていて面白かった。
慣れない土地と、新たな環境が余計なことを考えさせる余裕を無くしてくれて、何となく救われていた。
でも――――
「描かなきゃな……」
そのために俺はイタリアに来たんだから。
本格的に企画が始動するのは、まだ少し先だが、今の内に描けるだけ描いておいた方がいいだろう。
そう思って毎日カンバスの前に座るが、思うように描けない――――。
てか、描きたいものが浮かなばい――――。
俺この先、描き続けること出来るのか?
ポタ――――落ちてきた不安色の絵の具が、俺を侵食し始める。
頭がグラグラする――――。
この闇に落ちたら、また暫く浮上出来ない。
「助けて……香織……」
反射的に香織の名前を呼ぶと、圧し掛かってきた重みが軽くなって気持ち楽になれた。
「は……はは……」
香織にはもう会えないのに――――。
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