第一回『ファンタジックロジック』

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   宿屋の証言  そうです。夕べはお楽しみでしたよ、確かに。えーっと、あれは会心の一撃でしたっけ? ズガガガッ! っていう爽快な音が二階から三回も聞こえてきましたからね。三回も! おかげで、こっちは目が覚めちまいましたよ。  ま、他にお客さんもいなかったし、注意するなんて野暮なことはしませんでしたが。しかし、さすがの勇者でも、やっぱり疲労するんでしょうな。今朝は少しばかり顔色が悪く、とても一休みしたようには見えませんでした。ひひひ。あ、失礼。  で、まだなにか用ですかい? え。その晩、宿を出入りした者はいなかったか? いませんでした。これは断言できます。  私はすっかり目が冴えちまったもんだから、本を読んでいたんですよ。これ、吟遊詩人バリトゥの詩集。いやー、すっかり彼の世界に魅了されちまいました。それはさておき、私はともかく起きていました。ドアが開けば、わかります。ほら。建てつけが悪いもんだから、ギイギイ音が鳴るんです。けど、その晩は一度もドアが開く音はしませんでした。
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