第一回『ファンタジックロジック』

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 はい。そのあと、ですか? 翌朝、目を覚ましたときには、勇者さまは旅支度をしているところでした。私と目があうと、気まずそうに目をそらしたのを覚えています。まだ疲れが残っていらしたようで、目が虚ろでしたわ。  真夜中のことを聞かせて欲しい? 申しわけないけど、記憶にございませんの。実を言いますと、私、いささか寝つきがよすぎるのです。ここだけの話、魔物にさらわれたときも目が覚めなかったぐらいです。ふふ。  音? さあ、覚えがありませんわ。  痛ッ。あ。いえ、今朝から妙に手がずきずきしますの。どこかで打ったのかしら?    ドナシアン二世の証言  バウ! くぅ~ん。わんわんわん。ワウーン。はっはっはっ。ワンワン。がるるるるるる。ワン。うー。あう~ん。あう~ん。    精霊の証言  勇者よ。汝に魔王を打ち倒す勇気あるかぎり、汝の命は何度でもよみがえるでしょう。
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