秋の夜長

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オフィスのすぐ前が広い公園になっており、どちらからともなく二人はそこへ向かった。 昼間の公園は子供連れのママさんグループや、疲れたようなサラリーマンなど、顔触れは様々だ。 是枝は秋の陽気の中で大きく伸びをする。 「あー、OLってやっぱいいよなー。俺警察なんかになったら周り男ばっかなんだろーなー」 「………………」 噴水の少し手前で証は立ち止まった。 「俺は暇なお前と違って仕事中なんだけどな。一体何の用だ」 尖った声を投げ付けると、前を歩いていた是枝も足を止めて振り返った。 そうして笑顔を見せる。 「土曜日、あれからどうなったのかなーと思って。……ちゃんと約束通り、その日のうちに柚子ちゃん帰したでしょ」 「………………」 込み上げる苛立ちを堪え、証はフイと是枝から顔を背けた。 「…………別に、どうもなってねーけど」 「どうもなってないって……」 是枝は不満げな口調になる。 「何だよ、つまんね。揉めたりしなかったの?」 「………………」 (……揉めたに決まってんだろ) 心の中でそう呟き舌打ちをしたが、そんな事実を告げればこの男を喜ばせるだけだとわかっているので、ぐっと言葉を飲み込んだ。 気持ちを落ち着けようとふーっと大きく息を吐き出す。 「………お前、何がしたかったんだ?」 静かに問うと、是枝はニッと笑った。  
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