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「でも本音を言うと、私も少し悔しい」
「…………は？」
「付き合ってはいたけど、成瀬君、私のことなんかこれっぽっちも好きじゃなかったでしょ」
証は黙って絵里香の瞳を見つめ返した。
「…………別に、嫌いじゃなかったけど」
「でも好きでもなかったでしょ」
途端に証は面倒臭そうに眉宇を寄せた。
付き合っていた頃から変わらないその仕草に、絵里香はクッと吹き出した。
「どうやら変わったのは橘 柚子に関することだけみたいね」
「………………」
絵里香は証に間近まで顔を寄せ、艶っぽい瞳で証の目を覗き込んだ。
「ねぇ。久しぶりにしない？」
言いながら肉感的な肢体を証に擦り寄せる。
だが証は顔色も変えずに黙って絵里香を見返した。
そうして小さな溜息を一つ吐き出す。
「…………別にいいけど」
意外な答えに絵里香は笑いを収めてわずかに身を引いた。
「…………え？」
「そのかわり俺、お前のことあいつの身代わりにするぜ？」
絵里香はゆるゆると目を見張る。
証は淡々と続けた。
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