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そのとき、ドラゴンと私の間に一条の閃光が走ったように見えた。
ゆっくりとドラゴンの身体がかたむいていく。
地面がドラゴンの巨体を受け止めて、小刻みに震えた。
――え?
私は呆然と立ち尽くした。
横たわるドラゴンの前で、少年が慣れた手つきで剣を鞘に納めている。
このシチュエーションは……間違いない。耳にタコが出来るほど聞かされてきた、お父様とお母様が出会ったときと同じだ。
ということは、彼が私の、運命の王子様……?
知らず知らずのうちに胸の鼓動が早くなっていく。
彼は私をその勝ち気な赤い瞳にとらえて言った。
「この森はお前のような子供が来るような場所じゃない。二度と来るな」
……はぁ?
いま、なんてった?
予想外の言葉に、私はマジマジと彼の顔を見つめる。
ちがうでしょ?
お父様みたいに「大丈夫?ケガはないかい?」って、言ってくれなくちゃ!
彼は私をジロリと見ると、再び口を開いた。
「聞こえなかったのか?子供が来るような場所じゃない、帰るんだ!」
な、なによ…………あ、あんただってぇ……!!
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