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「あんただって子供じゃないのさぁー!!」
ふかふかの羽毛ぶとんをはね飛ばして、パジャマ姿の少女が飛び起きた。
肩で息をしながら、額の汗をぬぐう。
ベッドの近くにある、継ぎはぎで縫い合わせたカーテンの隙間から朝の光が細く差し込んできていた。
見慣れた光景に、少女は息をつく。
「……夢か」
海を連想させるかのような深い青色の瞳は、安堵の色を浮かべた。
「よりにもよって、何であんな夢見るわけ……?」
ふと、思い返してみれば、この世界にはドラゴンなんて生き物は居ないし、何より、父親と母親なんて小さい時から居なかったから"お父様"や"お母様"とも呼んだことがない。
それにしても、夢で見たあの少年がどこか見覚えがあるような、ないような……。
しかし、その呟きや、思っていた事は「姉ちゃん、もう7時半だよー!!」と言う声にかき消された。
ガチャッとドアが開かれると、立て付けの悪いギギィという何とも言えない音と共に、緑色の大きな瞳に、黒髪の少女より年下だと思われる少年が部屋に入ってきた。
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