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よろよろしながら現れた女性に、高杉と華乃は「しまった」という顔をする。
今の会話をすべて、お梅に聞かれていたらしい。
「今の…芹沢さんが…死ぬ、って……ほんと…なんですか?」
「……お梅さん…」
「嘘……ですよね?ね、小倉さん…っ」
「………」
華乃の無言の意味を察したお梅は、泣きそうに歪んだ顔で華乃の胸にすがってきた。
「いや…っ!そんなの嫌…!!せっかく…せっかく居場所を見つけたのにぃぃぃい!!」
己の胸で泣く彼女の背を、華乃は包むように抱いた。
「お梅…さん…」
「助けてください!芹沢さんを…っ」
華乃の瞳が揺らぐ。
「後生ですから…っ…あの人を死なせないで…っ」
そう頼むお梅に、華乃が口を開こうとした時、
「いい加減にしろよ、この馬鹿女」
不機嫌そうな高杉の声が響いた。
ビクッと身体を強張らせるお梅。そんな彼女に、高杉は責めるような口調で言った。
「アンタさぁ…、華乃のことを超人かなんかと勘違いしてね?コイツだって斬られりゃ痛ぇし、最悪死んじまうこともある」
「高杉さん…!」
華乃が憤然して怒鳴っても、高杉は気にした風もなくお梅に続ける。
「芹沢さえ助かりゃいいのかよ?華乃が危ない目にあっても?あいにくと俺は、芹沢なんて知ったこっちゃねぇからな。コイツを危険に晒すなんて俺が許さねぇ」
「っ…わ、わたし…そんなつもり…じゃ…」
苛立つ高杉から鋭い目付きで睨まれ、とうとうお梅はポロポロと涙をこぼした。
「高杉さん…」
華乃の声音に凄みが増す。
「…いくら貴方でも…それ以上言ったら…許しませんよ…」
彼女から昇る凄まじい怒気に、高杉はバツが悪そうに顔をしかめた。
そして華乃は、次にお梅に視線を移すと、瞳を和らげて話しかける。
「大丈夫ですよ、お梅さん。芹沢局長は…私が守ってあげます」
「…っ…けど!そしたら小倉さんが危険に…っ、わたし…そこまで考えてなくて…ごめ…ごめんなさい…っ」
「大丈夫ですって。私は大丈夫ですから。もう安心してください…ね?」
優しく微笑みかけながら宥めると、お梅は緊張の糸が切れたのか、再び華乃の腕の中で眠りについた。
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