第1話

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不意に目が覚めた。 静寂の世界に 一気に音が蘇る。 大音量の怒号と罵声。 自分でもこんな喧騒の中で何故眠っていられたのか分からない。 ここは見知らぬ建物の中。 ふと体に触れる冷たい床。白い石で出来ている。 立ち上がり、振り向くと 数人の男性が目の前で倒れていて、周囲の床は赤く染まっていた。 その男性達に囲まれていたかのように 見知らぬ男女が無数の矢に撃たれ、絶命していた。 剣や斧なども落ちていて 死体は見るも無残で顔すら分からない程矢や剣を受けていた。 白い石床も血の飛沫が飛び散り、ところどころに血だまりが。 この異常な状況に眉をひそめ、さまよわせた視線に何かが飛び込む。 見えたのは自分の胸に深々と突き刺さった矢。 だが痛みがない。 普通なら致命傷のはず… なぜだか分からない。
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