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カーテンの隙間から差し込む朝日で目が覚めた。
「ん、ふわぁぁ……眠っ……」
まだ寝ていたいが、今日は出なきゃいけない授業も多い日だ。オレは気だるい身体を起こしてベッドから抜け出し、閉めたカーテンも開けずに着替えを始める。
パジャマを脱ぎ捨て、ハンガーに掛けてある白のYシャツを羽織り、床に落ちている濃いグレーのズボンを履きベルトを締める。
そしてタンスからテキトーに靴下を選び、同じく床に落ちてたい濃いブルーのネクタイを拾いゆるめに結んで、最後に机の椅子に掛けてあるこれまた濃いブルーがかったブレザーを羽織れば着替えの完成だ。
机の上の薄っぺらい学生カバンを引っ掴むと、一階の玄関へと向かう。
「ッ……今日も朝メシ作ったのかお袋……いらねぇっていつも言ってるのに」
玄関に向かう途中、誰もいないダイニングの食卓テーブルに用意された朝食にふと目がいく。
「ったく、食わねぇって言ってんだから、用意するなよな、ホント……」
オレはそれを見て、どこかイライラしながら吐き捨てる。
そう。「朝食を作ってくれ」なんて、もう頼んじゃいない。だから、オレは用意された朝食を無視し、そのまま通り過ぎて玄関で靴を履くと、誰もいない静けさだけが残る家をあとにする。
オレの家は新しくもなく、けれど古すぎない小さな普通の一軒家。辺りにも似たような一軒家が多く並び、たまに古びたアパート、綺麗な新築がちらほらと。
オレはいつものようにその住宅街をのんびりと歩き、車通りの多い大通りに出てまずは行き付けのコンビニを目指す。
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