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「微妙な時間だが……まぁいいか」
学校に着き、携帯で時間を確認したオレは自分の教室には向かわず、一階奥にある静かな空き教室へと向かう。
そこで五分はど席に座ったままただぼーっとして時間を潰し、一限目終了のチャイムと共にオレは席を立ち、自分の教室がある二階へと向かい三年五組のドアを開けると──。
『───っ』
休み時間でザワついていた教室内に、一瞬静寂が訪れる。と同時に、クラスの連中ほとんどがオレに向かってあからさまに視線を向ける。
もちろん好意的でも友好的でもない。その逆で、『嫌悪』とまではいかないと思うが、そういう類いの視線がオレに容赦なく突き刺さる。
(はぁ、相変わらずだなお前たちも……ホントいい加減にしてくれ、マジで)
もう何度目になるかわからないその視線にげんなりしつつも、オレは窓際の一番後ろの席──自分の席にカバンを置き、少々荒っぽくドカッと音を立てながら腰を降ろす。
その音にビクッと肩を揺らす奴もいたが、すぐにあちこちで会話が再開される。
「(おい、あいつ今日も遅刻だぜ。もう何度目だよ?)」
「(バカ、聞こえたらどうする。目ぇつけられるぞ)」
「(ああ~恐かったぁ)」
「(ねぇ)」
しかし、その会話はどれもオレに向けての物だった。
ったく、ホントいい加減にしてくれ。人のこと見て、いつもビクビクビクビクしやがって……はぁ。
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