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顔を上げる。
丘を下り、数十メートル先に広がる国を黙視した。奇妙や怪奇、異常や珍妙の言葉が似合う街と言えば分かるだろうか。
作りからして、別に構造物が極端に奇抜な訳じゃないし、見慣れない建物はあるにはあるが、見た事ない事もないのだ。
ただ、そう、どう形容するか迷う。
「まるで……盲目を量産する街だなこりゃぁ」
溜め息が糸を引くように伸びる。
円を描くように広がる防壁。円は規律正しく、丸を描いているので大体右端から左端まで五㎞の国。
中心に正門があって、正門の先は横幅がある大通りが国の中心に伸びている。
簡単に言えば国の中心に立つ三本の塔を合わせたような石造りの高く聳える城から、東西南北の防壁の門に向けて大通りがあるのだ。
見る限り、此方は正門と言うより、裏門だろう。
其処までは良い。例えば文化水準が低くて自転車も走らず、石造りの道に、石造りの低い背たけの家も今は流す。
一番可笑しいのは色なのだ。俺の目が可笑しいのかと思うが、草は緑である。
海は青いし、空は青天井、晴天だ。
色の見分けが付く。
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