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若干老けた平社員に酷似した姿に似合わず、洗練された動きで左手を差し出す黒髪の中年男性。
右手で握る。
「……なんつーか、分からねーけど宜しく」
手を離して、ジャージのポケットに手を押し込む前に指先で弾いてサングラスを定位置に戻した。
「ああ、あんた新参か。なら城に行くと良い。と言うか新参なら今は大型飛行船舶01にいる筈だが……」
俺の背を軽く叩き、意味不明な言葉を交わしながら殴り合いを続ける二人の横を気軽に通過した男性の服装は青い。
何かあるのだろうか。それよりも通って良いのだろうか。
門を通った先で此方に黒い濁った瞳を向ける男性から付いて来い何ぞの意思が感じれるので続く。
門を潜り抜け、眼前に入るのはやはり、色調がなってない色彩が極端な景色。
口を押さえたくなる。
「おいおい、吐くなよあんた……」
吐きたくはないので痩せ我慢するが、これはもう我慢大会だろう。酷過ぎる景色に鬱屈として来た。
「で、あんたは何で此処に?」
「知らねーよ、此方が聞きたいな」
「態度がでかいな、やたら大層な能力持ちか?」
「…………」
何で、体質を見抜かれた。口振りから慮れる情報は少ないが、推察するに能力を持っているだけとしか分かられていないし、俺の本質は知られてはいない筈だ。
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