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右側、青い街と赤い街。
「チートってー、何だと思うの奴隷くん?」
「あ? あーんー、卑怯なんじゃない?」
「卑怯だとすると、卑怯ってー、どんなもの?」
「そんなの、生あるものは死ぬように、酷く定まり、偶発も蹂躙したか如く決まり文句を言える。つまりは、うん、僕だったりする」
「キャハハハ」
ケラケラ女主人様は笑い出す。
多分、チートは強い訳じゃないのだ。
偽物は最強には勝てないし、また同時に最強は無敵には敵わない。
何故かはどうなんだろう。考えてみればほんの些細な事なんじゃないだろうか。まあ、思考が脱線し始めたから直そう。
女主人は猫のように、そう猫を彷彿とさせる笑みを湛え、桃色の歯茎に包まれた純白の歯を煌めかす。
「チートってなんだろう……?」
女主人は高く、細くて鼓膜を破るような、そんな迷惑極まりない声量で陽気と無邪気を混濁させて口から笑い放ち。
僕の疑問を流した。
これはただの好奇心。または、そう、意味のない事に意味を見出だしたりしたかっただけである。
意味がない。だけれども、変わりない形に意味を見付け、感じるのは、意味に対してそう思っただけで意味のない事に意味を見出だす行為こそが意味だったりする訳なのだが、まあ保留問題だ。
この女主人と出会い。恐らくは余り考えてなかったが、アンチヒーローっぽい何かになってしまった。
それは全てが女主人の性とは言わないけれども、ちょっとは荷担してるんじゃないかなとは思う。
これは女主人とチートな俺や僕の断片的な会話の一部である。
女主人は我が儘で傲慢で、今までどうやって生きていたのを疑いたくなる弱者だが。俺や僕だってそんなに変わりないと思う。
これは運命か、はたまた偶然か、それとも必然か。怪傑と怪傑との下らねー御話だ。または、俺や僕なチート様と私様の女主人劇となる何かしらだろう。
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