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「――そろそろ戻らねば……」
まだ暗い窓の外。
空の月を見つめ、名残惜しそうに呟くその横顔を、わたしはただ、じっと見つめる。
「今日の昼、本邸に戻るんだ。来月は、月の終わりにパーティーを開くとかで、慌ただしくなりそうだから、次にこっちに来るのは、再来月になると思う」
そう言って、こっちに顔を戻した彼は、こくりと頷くわたしを見て、寂しそうに微笑んだ。
「……すまない、リアナ。必ず君を妻に迎える。それまでは寂しい思いをさせてしまうが、誰のものにもならず、待っていてほしい」
申し訳なさそうな彼の言葉に、わたしは笑顔で頷く。
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