君伝3…4.2章 キス争奪戦

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キッチンへ行ってグラスを用意。氷を入れて、それにコーヒーを注ぐ。 そのグラスをトレイに乗せて自分の部屋に。 そこにはベッドを背に座る彼がいて、 「ホント、いつも綺麗な部屋だね」 なんてニコリと笑う。 「あまり見ないでください。隅に避けただけだし」 「大丈夫、タンスとかクローゼットの中までは覗かないし」 「当たり前です!」 そう言いながらグラスを差し出すと当たり前のように「ありがとう」という声と笑顔が返ってきて、それだけでドキッとさせられてしまう。 意識しないように、いつも通りに――。 そう思えば思うほど、胸のドキドキは収まらない。 「それじゃ、約束通り家庭教師してあげる」 「――っ」 あげるって――。 小さな言葉尻に過敏に反応しちゃうのはやっぱり意識してるから。 「何を教えようか?」 「えと……」
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