1580人が本棚に入れています
本棚に追加
美穂より大きな手がシャープペンシルでさらさらと綺麗なアルファベットを綴っていく。
プリントの端まで書いて、
「――っ」
美穂の手に少しだけ触れた。
それだけなのに、跳ねる彼女の髪。
顔を見れば緊張してるのが分かるほど、強張って真っ赤で……。
だから彼はクスリと笑う。
「大丈夫、君が嫌がることはしないよ」
そして、いつものセリフ。
分かってる。
いつだって彼はそうだ。
でも、だったら――。
「……嫌がってなかったら?」
「美穂?」
「嫌、なんて思ってなかったら?」
最初のコメントを投稿しよう!