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ドキドキと胸を叩く心臓は勝手に飛び出てしまいそう。
顔は鏡を見なくたって分かるくらい赤くて熱い。
彼が触れたせいで、指先までジンジンと熱く熱を帯びてる。
恥ずかしくて顔の上げられない美穂に大きな手が伸びた。
その指はそっと髪を梳いて耳にかける。
それだけでビクッと揺れる身体。
やっと見えた美穂の顔は本当に真っ赤で、凌はフッと笑った。
「もし、そうなら俺の理性が崩壊しちゃうかな?」
台詞とは裏腹に冷静な声のトーン。
だから余計でもムカついて、いつも以上に美穂の顔は赤くなって……。
「……いつだって冷静なくせに」
「そんなことないよ」
「嘘」
「相手が美穂だといつだって俺はギリギリだから」
「……嘘つき」
「ホント――」
彼の指が、うなじに触れる。
ビクッと震えるけれど、それでもその手は止まらない。
髪の中を滑って後頭部に添えられる手。
その手が誘うまま顔を動かせば、彼の顔はすぐそこにあって――。
「お願いだから、嫌がらないで」
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