君伝3…4.2章 キス争奪戦

19/21
前へ
/21ページ
次へ
ドキドキと胸を叩く心臓は勝手に飛び出てしまいそう。 顔は鏡を見なくたって分かるくらい赤くて熱い。 彼が触れたせいで、指先までジンジンと熱く熱を帯びてる。 恥ずかしくて顔の上げられない美穂に大きな手が伸びた。 その指はそっと髪を梳いて耳にかける。 それだけでビクッと揺れる身体。 やっと見えた美穂の顔は本当に真っ赤で、凌はフッと笑った。 「もし、そうなら俺の理性が崩壊しちゃうかな?」 台詞とは裏腹に冷静な声のトーン。 だから余計でもムカついて、いつも以上に美穂の顔は赤くなって……。 「……いつだって冷静なくせに」 「そんなことないよ」 「嘘」 「相手が美穂だといつだって俺はギリギリだから」 「……嘘つき」 「ホント――」 彼の指が、うなじに触れる。 ビクッと震えるけれど、それでもその手は止まらない。 髪の中を滑って後頭部に添えられる手。 その手が誘うまま顔を動かせば、彼の顔はすぐそこにあって――。 「お願いだから、嫌がらないで」
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1580人が本棚に入れています
本棚に追加