君伝3…4.2章 キス争奪戦

20/21
前へ
/21ページ
次へ
そんなセリフを口にしながらキスをする。 触れるだけのキスを何度も繰り返していると、いつ息をすればいいのかわからなくなってしまう。 だからそのキスから逃れようと少し顔を傾ければ、 「ダメ」 「……んっ」 キスはいきなり深くなって、逃げることを許さない。 ベットはすぐ後ろで、エアコンの冷たい風が肌を撫でていく。 「俺を、好きだと言って?」 熱い。 触れる肌も、吐き出される息も、なにもかも――。 「……せんぱ――」 「凌だよ、美穂」 「りょ、う……」 「ん?」 「――好き……」 離れたって大丈夫。 そう思っていたけど、思った以上に遠くて離れてて。 少しでも肌が触れ合えばそんな不安は消し飛んでしまうのに、それが出来ないから些細なことで躓いてしまう。 いつまでも、こうしていれたらいいのに。 だけど、もしかしたらこうしていれないことを知っているから、求めてしまうのかもしれない。 心も、身体も、相手のなにもかもが欲しくてたまらない――。
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1582人が本棚に入れています
本棚に追加