1582人が本棚に入れています
本棚に追加
そんなセリフを口にしながらキスをする。
触れるだけのキスを何度も繰り返していると、いつ息をすればいいのかわからなくなってしまう。
だからそのキスから逃れようと少し顔を傾ければ、
「ダメ」
「……んっ」
キスはいきなり深くなって、逃げることを許さない。
ベットはすぐ後ろで、エアコンの冷たい風が肌を撫でていく。
「俺を、好きだと言って?」
熱い。
触れる肌も、吐き出される息も、なにもかも――。
「……せんぱ――」
「凌だよ、美穂」
「りょ、う……」
「ん?」
「――好き……」
離れたって大丈夫。
そう思っていたけど、思った以上に遠くて離れてて。
少しでも肌が触れ合えばそんな不安は消し飛んでしまうのに、それが出来ないから些細なことで躓いてしまう。
いつまでも、こうしていれたらいいのに。
だけど、もしかしたらこうしていれないことを知っているから、求めてしまうのかもしれない。
心も、身体も、相手のなにもかもが欲しくてたまらない――。
最初のコメントを投稿しよう!