狡い選択

27/40
前へ
/40ページ
次へ
(そっか……私がガチガチだから……五十嵐さん緊張ほぐそうとしてくれてるんだ……) 五十嵐の真意がわかり、柚子は膨れっ面を引っ込める。 続いて、はにかみながら笑った。 「………はい。随分リラックスできました」 柚子の笑顔を見て、五十嵐も緩く微笑む。 そしてそのまま、二人の距離を詰めるように五十嵐は柚子に近付いた。 五十嵐の手がゆっくりと柚子の髪に触れる。 顔が近付いてきたと思うと、次は強めに口づけられた。 (…………うわ………) 髪を撫でられながら、深く深く、唇を奪われる。 徐々に激しくなっていくキスに、五十嵐が昂ぶっているのだと柚子は感じた。 空いたほうの五十嵐の手が、柚子の指に絡まる。 慣れないながらその深いキスに応えていると、不意に五十嵐の体重がかけられた。 (………あ……) 口付けられたまま、押し倒されたのだと気付く。 自然に、両足もベッドの上に引き上げられた。 長いキスの後、五十嵐はようやく唇を離し、柚子の顔の横に手をついて身を起こした。 耳元で、ギ…ッとベッドのスプリングが軋む。 五十嵐は熱っぽい瞳で柚子の顔を見下ろした。 その瞳を見て、柚子の体が芯から熱くなった。  
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1937人が本棚に入れています
本棚に追加