狡い選択

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五十嵐の唇が、首筋に落とされる。 その唇が優しく首を上下し、柚子はたまらず五十嵐の袖を掴んだ。 「…………ん」 ゾクゾクとした感覚が体中を駆け巡り、自然口からは吐息がこぼれ落ちる。 五十嵐は耳や首筋に何度も口付けを繰り返し、やがてその大きな手が柚子の体を愛撫し始めた。 「………あ……っ」 指を軽く噛み、声が漏れるのをこらえる。 それに気付いた五十嵐は、笑ってすぐに柚子の手を口元からどけた。 「ダメ」 柚子は涙の溜まった目で五十嵐を見上げる。 「だ、だって…、声………」 「どうして? 聞きたい」 「でも、恥ずかしい……」 「恥ずかしくない」 五十嵐はクスッと笑って柚子のパジャマの中に手を入れた。 お腹から脇腹をなぞられ、ビクンと体が大きく反応する。 「………や」 首をのけ反らせると、五十嵐はその首筋に口づけ、ゆっくりと鎖骨に舌を這わせた。 柚子の体が中から熱くほてりだす。 「…………んんっ」 一つずつパジャマのボタンを外され、下着があらわになった。 五十嵐の手が背中に回される。 その骨張った指がブラのホックにかけられ、柚子は恥ずかしさで顔を背けた。 ──────その時だった。 ピンポン、と呼び鈴が鳴らされた。 二人は同時に動きを止める。 「……………」 五十嵐は身を起こし、訝しげに顔だけを玄関へ向けた。  
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