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「伯父上は……証から三千万を脅し取った恐喝の罪で、柚子さんのことを訴える準備を進めていたらしいんです」
「……………」
あまりにも突拍子もないことを言われ、柚子は一瞬唖然として五十嵐の顔を見つめた。
五十嵐の言葉の意味が、全くわからない。
自分が、証から。
三千万を脅し取った罪で。
訴えられる……?
「……え? 何……何ですか?」
混乱し、声を上擦らせると、五十嵐は何ともいえない表情を見せた。
「もちろん、そんなことはでっちあげです。何の根拠もない。ただ伯父上は、それを盾にして、証を脅したんです」
「……………」
「柚子さんを訴えられたくなかったら、柚子さんのことを諦めろ、と。……そして、本社に戻ってこい、と……」
あまりの衝撃に、柚子は大きく息を吸った。
絶句してしまい、しばらくは言葉も出ない。
(……え? どういうこと……?)
五十嵐の放った言葉を、ゆっくりと頭の中でかみ砕く。
つまり証は……。
柚子を訴えると父親に脅されて……。
そのせいで柚子を諦め、本社に戻る決意をした……と。
「……………そんなこと…っ!」
柚子は勢いよく五十嵐の顔を仰いだ。
「そんなバカバカしい嘘八百……どうして証は……」
「……………」
「契約書だってあるし、そんなの根も葉も無いでっちあげだって、証が一番わかってるはずじゃないですか!」
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