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(完全に、自業自得だよね…。二人に告白されていい気になって、散々待たせて苦しませた結果だもん……)
柚子は唇を噛んで涙を堪える。
ここで泣くのは、ズルい。
自分なんかより、証や五十嵐のほうが、よほど辛い思いをしているのだから……。
(そうだ、それに……泣いてる場合じゃないんだ……)
柚子は勢いのついていたブランコを止め、ブンブンと首を振る。
(今、自分にできる精一杯のことをしないと……)
柚子を守る為、自分を犠牲にした証の為に。
自分は今、何ができるだろう?
(とにかく証のお父さんに会って、直談判するしかないよね……)
会って、自分は訴えられてもいいから、証とはもう二度と会わないと約束するから。
だからせめて、証を解放してあげてほしい。
学生でありながら一生懸命に立ち上げた会社に、戻ってもらいたい。
会社の為に、証がどれだけ頑張っていたか、傍にいた自分が一番よくわかっている。
証と結ばれたいなんて高望みはしないから。
せめて。
証はいつかは成瀬に戻る身だと達観しているけれど、せめて自分が納得のいくまで、今の会社を続けさせてあげてほしい。
その為なら、自分の夢は捨てても構わない。
元々、風俗まで身を落としかけていたところを証に救われたのだ。
夢を叶えたいといっても、本音をいえば生きていくだけで精一杯だった。
その人生を証に使ったって、バチは当たらない。
後悔なんかしない。
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