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「………全く仲いいんだか悪いんだか。若いっていいわねぇ、ホント」
二人を締め出した奈緒子は、やれやれと息をついてから気怠げに雄一郎の向かいのソファーに腰を下ろした。
足を組み、優雅な仕草でタバコに火を点ける。
そうして煙を吐いた後、雄一郎を見つめながら挑戦的に笑った。
「………さて、こっちはこっちで話しましょうか」
「……………」
雄一郎はジロリと奈緒子の顔をねめつける。
「────始めから、これが目的だったということですかな」
「……………」
雄一郎の言葉を受け、奈緒子はニッコリと微笑んだ。
「なるほど。15年前の復讐……という訳ですか。離婚した元夫の為に、あなたも暇なお方だ」
「…………それは少し語弊があるわね」
奈緒子はキュッとタバコを灰皿に押し付けた。
「今回のことは橘の為にしたことじゃなくて、柚子の為にしたことよ」
一転、奈緒子は笑いを収め、雄一郎を激しく睨みつけた。
「久しぶりに再会した時、あの子は身も心も貧乏人に成り果ててたわ。……自分なんかは、おたくの息子に釣り合わないってね」
「……………」
「それでもおたくの息子は柚子を選んでくれたらしいけど、交際するには父親の許しがいるって言うじゃない?………それが私はどうしても許せなかったの」
奈緒子は忌ま忌ましげに腕を組んだ。
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