急転直下

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※※※※※※※ プレゼンを終え、本社に戻った時は既に夕刻だった。 鏡張りのビルに夕陽が映り込み、ビル全体がオレンジ色に染まっている。 証はそのまま真っ直ぐに社長室へ向かった。 ノックをしドアを開けると、秘書の東野が慌てて証を出迎えた。 「お帰りなさいませ、証様」 「………ただいま」 答えながら、証はデスクに座る雄一郎に目を向けた。 雄一郎は顔も上げず、黙々と仕事を続けている。 「東野。ちょっと席を外してくれるか」 「え」 東野はチラッと雄一郎に目を向けたが、特に異を唱えられることもなかったので、その場でペコリと頭を下げた。 「かしこまりました。では失礼します」 パタンとドアが閉まる音を背中で聞いてから、証はスッと雄一郎の前に歩を進めた。 「ただいま戻りました」 しかし雄一郎は仕事の手を止めず、目を書類に向けたまま皮肉るように口を開いた。 「随分ゆっくりしていたんだな」 「…………プレゼンの続きをしていたんです」 ピタッと雄一郎の手が止まる。 そこでようやく証の顔を見上げた。 「─────何?」 「僕の企画書を評価してくださったんです。……来週、正式に契約を結ぶことになりました」 「……………」 雄一郎の顔にみるみる苦い色が広がった。 喉から手が出る程欲しかった仕事の契約は取れたが、奈緒子の正体を知り、それを素直に喜べない複雑な気持ちがその顔に滲み出ていた。  
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