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いつしか行為のさなかの汗が引いて、肌が細かく粟立っていた。
閉じていた瞼をゆっくりと持ち上げると、心配そうに顔を覗き込んでいる証と目が合った。
柚子はぼんやりと証の顔を眺める。
証はあからさまにホッとした表情を見せた。
「……気絶してんのかと思った」
その言葉に、柚子は思わず笑ってしまう。
「気絶って……どんだけ」
「いや、途中からなんか、無我夢中だったから」
冗談を言っているのかと思ったが、証は本気で心配していたようだった。
寒さに身を震わせ布団に潜り込むと、証は恐る恐る柚子に向かって手を伸ばした。
「………おい、大丈夫か」
「………え」
証の手が、ためらいがちに柚子の頬に触れる。
その手の熱さに、柚子はびっくりして目を丸くした。
「………証……熱い……」
「つーか、お前が冷たい……」
「冷え症だもん。汗ひいたら一気に寒くなっちゃった」
「…………マジかよ」
証はぐったりしたように枕を抱きしめて顔を突っ伏した。
「俺まだ心臓バクバクいってんのによー。汗も全然引かねぇし」
「…………ごめんなさい」
体力的に疲れたのではなく、どこまでも柚子を気遣って証がここまで疲れたのだということは、柚子もよくわかっていた。
柚子が謝ったので、証は驚いて顔を柚子のほうに向けた。
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