1936人が本棚に入れています
本棚に追加
/38ページ
「なんでお前が謝んの」
「………だって私、マグロだったでしょ」
柚子の言葉に、証は呆れたような顔をした。
「当たり前だろ、初めてなんだから。処女なのに積極的に動かれたら逆にひくわ」
「……そ、か。そうよね……」
柚子は恥ずかしくなって布団を口元まで引き上げた。
証は頬杖をつき、ニッと笑う。
「イクってどんなんか、わかった?」
「……………」
柚子はぼんやりと証の顔を見つめ返した。
「………よく、わかんなかった。途中、頭真っ白になったけど」
「………それってイッたんじゃねーの」
「そう…かな。そうなのかな」
空中に瞳をさまよわせる柚子を見て、証は肩をすくめた。
「じゃあハッキリわかるまで続けるか」
「……っ、な、何言って…っ」
「…って、言いたいとこだけど」
証は柚子を見たまま、バフッと枕に頭を乗せた。
「よりによって、明日…っつーかもう今日だけど、出勤時間早ぇんだよな」
「え、何時起きなの?」
「5時起き」
柚子は慌てて壁掛けの時計に目を向けた。
もう夜中の2時を回っている。
「嘘…! ほとんど寝られないじゃない!」
「………ああ。しかも昼からはお前の母親と打ち合わせだし。欠伸なんかしたらぶっ殺されそーだな……」
冗談めかしてそう言い、証は瞑目しながら苦笑した。
「いいから早く寝なさいよ!」
剥き出しの証の肩に布団を被せようとすると、証はぎゅっとその手を握りしめてきた。
最初のコメントを投稿しよう!