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(セレブ妻なんかになりたいとは、思わないんだよね……)
では一体、自分は証とどうなりたいのだろう?
思いを受け入れてほしいということは、恋人同士になりたいのだろうか?
だとしたら、その延長線上にあるのは結婚ということになる。
だが、それがどうにも現実的ではない。
(それって多分、今の関係が対等じゃないからだ……)
柚子の中での理想の夫婦像は、お互いを尊敬しあえる『対等な関係』
だが今の自分達はそれとは程遠い。
主人と奴隷という関係から始まって。
証はいつも一枚上手だが、過去の事件のせいで、どこか柚子に負い目のようなものを感じている節がある。
自分自身、証と自分なんかは釣り合わないと思っている。
万が一雄一郎が柚子との仲を許してくれたとしても、世間的に自分が『犯罪者の娘』であることは変わらない。
もし一緒になれたとしても、そのせいでずっとお互いに気を遣って……。
────そうなると、自分達は一生、『対等な関係』になんてなりえないのではないだろうか。
(……もしかして、だから証は今は答を出さないでいる…とか?)
先の結婚のことまで考えて、自分の相手が本当に柚子でいいのか。
どんな逆境でも、二人で乗り越えていけるのかどうか。
それを見極める為に、あえて三週間という時間を置いたのだとしたら……
(………逆境……か)
証と二人で行ったパーティーを思い出し、柚子の背中にゾクッと冷たいものが走った。
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