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味も素っ気もないポキポキした柚子の言葉に、証は怒りを覚える前に完全に毒気を抜かれてしまった。
呆れ果て、眉間を押さえながら深い溜息をつく。
「………おめーには余韻ってもんがねーのか……」
しみじみと呟かれ、柚子はムッとして横を向いた。
証はジロリと上目遣いで柚子を睨む。
「……ったく、いつまで経っても色気がねーっつーか、処女くせぇっつーか」
「………もう処女じゃないもん」
柚子はボソッと小さく反論した。
「そういうこと言ってんじゃねーだろ。ああいうことあった後で、何も言わずに出て行くとこが愛想ねぇっつってんだよ」
「…………何よ、証だって!」
柚子はキッと証を睨み上げる。
「証だって、私に何にも言ってくれなかったじゃない!」
突然強い口調でそう切り返され、証はぐっと言葉を詰まらせた。
柚子の目に涙が浮かぶのを、息を飲んで見つめる。
「好きだって気持ち伝えたのに、それに関して証は何も答えてくれなかったじゃない」
「………だからそれは……」
「わかってる。最後の最後に言ってくれたから。……でも……」
柚子はぐいっと手の甲で涙を拭った。
「それ聞くまでは証の本心なんてわからなかったから……だから、一人でいっぱい考えたの」
「……………」
「私は証とどうなりたいのか…証の為に私はどうするべきなのか」
柚子が切羽詰まったように話し始めたので、証は口を噤んでじっと柚子の顔に見入った。
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