時速200kmで逆走

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「いっぱいいっぱい考えて……やっぱり私は、証にはふさわしくないって思った」 「……………」 「好きだけど……証のことすごく好きだけど、『好き』と『結婚』は違うんだってこと、嫌ってほどわかったから……」 「────だから黙って出て来たって言うのかよ」 証は静かに柚子の言葉を遮った。 まるで責めるように柚子の瞳を強く見返す。 「………じゃあなんで俺に抱かれた? 餞別のつもりかよ」 「そ、そんなんじゃない!」 柚子は勢いよく首を振る。 「証に抱かれたのは、証が好きだからだよ! あの時証に抱かれたいって…触れてほしいってそう思ったからだよ!」 「………………」 証は柚子が話し終わるのをじっと待った後で、少し吐息がちに口を開いた。 「俺は……お前を抱けて幸せだと思ったよ。でも……そう思ったのは俺だけなのか?」 「……………!」 柚子は再度首を横に振った。 「私も同じだよ! すごくすごく幸せだって思った。……だから……」 膝の上でぎゅっと手を握り、柚子は俯いて涙を堪えた。 「だから…決心が鈍りそうだったから……黙って出てきたの……」 証はハッとして柚子を見つめる。 「ホントはちゃんと挨拶して、お掃除して、普通に帰って来るつもりだった。……だけど、思いがけなくあんなことになって……」 「……………」 「証の寝顔見てたら、幸せで……幸せすぎて、このままずっと一緒にいたいって思ってしまいそうだったから……」  
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