秋山 カズマ

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秋山の本気の困った顔に、流石の峰岸も話を引っ込めた。 「いや、悪かったな。一応な立場上話をしないといけなかったからな」 ここで話は一区切りすると思ったが、峰岸の話はまだ終わりではなかった。 「実はもう1つ話が有るんだ」 秋山はこの時、自分が尊敬する先輩がやはり切れ者であると悟った。 実は本題はこっちなのだろう。一度秋山は峰岸の話を断っている手前、次の話は断り辛い。 昇進の話は何度も断り続けている。今さらあらたまるのは何故だと疑問も感じていた。 営業の世界で一目を置かれる秋山で有ったが、彼を育て上げた峰岸も秋山と遜色無い程の人心掌握術に長けている。 秋山は警戒しながらもやはりこの人に付いていくと、新たに決意を固めて若干の心地好さも感じていた。 「人が悪いな峰岸さん。呼び出したのはソレですか?回りくどいんで眠っちゃうところでしたよ」 峰岸は口元を小さく吊り上げた。 勿論秋山もそれに気が付き話を聞こうと身を乗り出していた。
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