第一章

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「吉田はんから聞いてるんよ。飛びっきり綺麗にしてもらうさかい。」 私はただただ目移りするばかりだった。 こんな高価そうなものを… 壊したらどうしよう… 「あ、うちは鈴言うんよ。おおきに。」 「あ、朔と言います…」 鈴さんは可愛く笑う人だなと思った。 そして、鏡の前に黙って座っていた。 目を閉じたまま動かなかった。 いや、動けなかった。 何をされているのかまったく分からない。 「目、開けてええよ。別嬪さんや!これならすぐ売れるんと思うんよ。」 笑っていいのか分からなかった。
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