第一章

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「ええ?言葉難しいんやけど頑張ってや。」 廓言葉のことだろうか… 見よう見まねでいいなら出来る。 私には根本的に此処がどんな店かも分からない。 何をするのかも… 「あの、何をしたらいいんですか?」 鈴さんにキョトンとした顔をされた。 その後すぐに笑われた。 「そんなことも知らんで此処に来たん?男の人にお酌や舞を踊るんよ。」 お酌や舞… 「頑張ります…」 「笑顔が大切や!」 鈴さんはさっきの笑顔とは違う笑顔を見せてくれた。 綺麗に、上品に笑う顔だった。 「鈴姐さん、壬生浪士組の方々がお見えになりんした。」 「へぇ、今行きますえ。」 私は着物を踏んで転けないようにだけ気をつけて歩き出した。
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