第一章

13/39
前へ
/516ページ
次へ
私はビクッと肩を震わせた。 芹沢さんは鉄扇を開いて立ち上がった。 「儂が誰か分かってその口を聞いているのか!」 「芹沢さん、落ち着けって!しょうがないだろ!」 壬生狼の人が暴れかけている芹沢さんを止める。 でも、それで終わる筈がなかった。 「脱がんと言うなら………土方、そいつの髪を切れ。」 鈴さんの顔が蒼白になっていくのが分かった。 芹沢さんはどかっと座り直して鉄扇で扇いでいた。 「それだけは勘弁して下さい!うち、店に出れなくなるさかい!」 芹沢さんは鈴さんの言うことなど聞こうともしない。 悠々としている。 私は黙って見ていた。 芹沢さんに命令された土方という人は刀を抜き、鈴さんを押さえつけた。 「嫌や!ほんまに、すんまへんでした!止めて下さい!」 「動くな。首まで斬られたくなければな…」 その後に聞こえた小さな声。 すまない… 私は立ち上がった。
/516ページ

最初のコメントを投稿しよう!

438人が本棚に入れています
本棚に追加