438人が本棚に入れています
本棚に追加
「武士なら何をしても許されるんどすか?うちらの命同然の髪を切るなんて…」
もう黙ってはいられなかった。
こんなに感情が高ぶったのはいつ以来だろう…
鈴さんは泣きながら此方を見た。
だから、身分なんて大嫌いなんだ。
「そこから退けて下さい。鈴さんを離して下さい。」
もう廓言葉なんて使っていられない。
それほど、私の怒りは大きかった。
私は素手で刀を掴んだ。
こんな痛み…
「貴様、何故邪魔をする?儂らの余興を壊しおって…」
私は鈴さんをこの部屋から出した。
この部屋にいるのは壬生狼の人と私だけ。
ごめんなさい、稔兄。
情報収集なんて出来ませんでした。
それより、許せないことが出来てしまったのです。
「何故…?それは私が言いたいです。余興でこんなことをするのですか?武士のお方はそんなことをするのですね。最低です。」
こんなこと言って私に命はあるのだろうか…
なくてもいい。
一度は死んだような命だから。
最初のコメントを投稿しよう!