第一章

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「芸子ごときにそんな嘗めた口を…」 私に向かって鉄扇が振り下ろされた。 瞬間的に目を瞑ってしまった。 耳に聞こえたのは金属音。 恐る恐る目を開いた。 目の前には刀があった。 「貴様、何者だ!」 私の目の前の人はその質問を無視し、私を軽々と抱き上げてその部屋から飛び出した。 よく見ると狐の面を被っている。 「朔、お疲れ様。やっぱり、可愛いね。似合ってるよ。」 この声は稔兄… 私は芸子姿のまま連れ出された。 周りの人々は何かを勘違いしているような雰囲気だった。 「此処までこの子を怒らせるなんてね…」 「ごめんなさい…」
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