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脳裏に浮かぶのはあの日。
怖い…
私は買った物を置いて走り出した。
「あ、ちょっと!」
壬生狼の人も走ってくる。
私に刀は使えない。
相手は刀を持っている。
追いつかれる前に…
でも、このまま藩邸に帰る訳には…
皆に迷惑かけちゃう…
まして、壬生狼…
「どうして、逃げるんですか!待って下さいよ!」
私は後ろを振り向かずただ走り続けた。
嫌だ…
追いつかれたくない…
無我夢中だった。
小さな路地を抜けて、人通りの少ないところを通って…
着いた先は行き止まり。
私は初めて後ろを振り返った。
「ハァ、ハァ…中々、速いですね。私も鬼ごっこは得意…なんです…けど…ね…」
男の人は息を切らしながら私の方を見る。
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