第一章

2/39
前へ
/516ページ
次へ
「………く!……朔!」 私は名前を呼ばれてハッとした。 昔のことを思い出していた。 無意識のうちに左目を触っていた。 「それで、話の続きなんですけど…」 「はい…」 私は報告を続けた。 今日は珍しく集まりがいい。 いつもならこの半分以下だ。 特にこの二人は来ない。 「だから、晋作は黙っててよ。馬鹿なんだしさ。話が分からなくなるんだから。」 「うるせぇよ、稔麿。俺はいつも静かだろうが!」 いつもいがみ合っている。 二人は、桂さんの話を聞いているのか分からない。 でも、いつも桂さんには信用されているんだ。 「朔もさ、晋作に何か言ったら?死ね。とかさ。」 稔兄は平然とした顔で言う。 いつも思う。 冗談なのか、本気なのか分からない。
/516ページ

最初のコメントを投稿しよう!

438人が本棚に入れています
本棚に追加