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「それにしても、朔がボーッとしているなんて珍しいね。あの事思い出してたの?」
あの事…
私は頷いた。
忘れられる筈がない。
あの羽織。
左目が疼く…
「その話はもうやめにしましょう。朔、高杉を起こしてあげて下さい。」
私は頷いて、晋兄を起こしに行った。
でも、面白がって稔兄がついて来る。
何をしようというのだろうか…
「晋兄…起きて…」
私は揺さぶった。
でも、目を覚ます気配はない。
「朔、それじゃ起きないよ。こうしなきゃ…」
稔兄は足で思いっきり晋兄のお腹を踏んだ。
稔兄って、晋兄に何か恨みを持っていたっけ…?
「ぐぇ!て、てめぇ、稔麿!」
稔兄は知らん顔で桂さんのもとに戻って行く。
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