04:愚か者は騙せない

18/53
前へ
/701ページ
次へ
「ちょちょ、ちょっとジキルくん!!いきなりなにするんだぬ!?」 いやややや! 何もしてませんて! 強制送還されて、サキさんの目の前に出てきただけですってば! 「も、もう…、アタシにだってこっ、心の準備ってもんが必要なんだからぬぇ…っ!?」 誤解!それ誤解! こらっ!『両手で顔を隠して照れる』モーションやめなさい!こっちが照れるわ! あら? ところでサキさん、ひとりですか?新メンバーは? 「うん、今さっきみんなログアウトしちゃった。なにかと忙しいみたいだぬ~」 僕はちらと時計を見る。 午後二時過ぎ。 確かに、一般の人がゲームにがっつり浸れる時間帯ではないな…。 あの、マイロード☆戮とかいうハイテンションバカはともかく、うにゃにゃちゃんには会っときたかったのにな、残念。 「んで、ジキルくんはどっから強制送還されたのかぬ?弱っちいクセに一人で無茶しちゃった~?」 いやいや、それがですねサキさん!聞いてくれます?僕の不思議体験! 「不思議体験!?うんうん、聞いたげるんだぬ!」 あのですね、湿原を歩いてたら…、幸運の蜘蛛っていうモンスターが出てきまして。 「ふんふん」 で、そいつを追いかけてたら…、神の住まいし時限の塔っていうダンジョンを発見したんです。 「ふんふん」 で、中に入ったら、白いドレスを着た女のひとがいて…。 「ふんふん」 で、近づこうと思ったらケルベロスがドーン!って出てきて、善戦虚しくやられちゃいまして。 「ふんふん」 そしたら、強制送還される前に、そのドレスの女性から「お前に力を与える」みたいなことを言われて…。 「ふんふん」 で、今に至るワケです。 「ふーん。じゃあアタシ、今からお買い物行かなきゃいけないから一旦ログアウトするぬぇ~」 うおぉぉい!! ここまで人の話聞いといて、ご意見もご感想もナシかいっ!?
/701ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6951人が本棚に入れています
本棚に追加