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「ちょちょ、ちょっとジキルくん!!いきなりなにするんだぬ!?」
いやややや!
何もしてませんて!
強制送還されて、サキさんの目の前に出てきただけですってば!
「も、もう…、アタシにだってこっ、心の準備ってもんが必要なんだからぬぇ…っ!?」
誤解!それ誤解!
こらっ!『両手で顔を隠して照れる』モーションやめなさい!こっちが照れるわ!
あら?
ところでサキさん、ひとりですか?新メンバーは?
「うん、今さっきみんなログアウトしちゃった。なにかと忙しいみたいだぬ~」
僕はちらと時計を見る。
午後二時過ぎ。
確かに、一般の人がゲームにがっつり浸れる時間帯ではないな…。
あの、マイロード☆戮とかいうハイテンションバカはともかく、うにゃにゃちゃんには会っときたかったのにな、残念。
「んで、ジキルくんはどっから強制送還されたのかぬ?弱っちいクセに一人で無茶しちゃった~?」
いやいや、それがですねサキさん!聞いてくれます?僕の不思議体験!
「不思議体験!?うんうん、聞いたげるんだぬ!」
あのですね、湿原を歩いてたら…、幸運の蜘蛛っていうモンスターが出てきまして。
「ふんふん」
で、そいつを追いかけてたら…、神の住まいし時限の塔っていうダンジョンを発見したんです。
「ふんふん」
で、中に入ったら、白いドレスを着た女のひとがいて…。
「ふんふん」
で、近づこうと思ったらケルベロスがドーン!って出てきて、善戦虚しくやられちゃいまして。
「ふんふん」
そしたら、強制送還される前に、そのドレスの女性から「お前に力を与える」みたいなことを言われて…。
「ふんふん」
で、今に至るワケです。
「ふーん。じゃあアタシ、今からお買い物行かなきゃいけないから一旦ログアウトするぬぇ~」
うおぉぉい!!
ここまで人の話聞いといて、ご意見もご感想もナシかいっ!?
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